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賃借人の退去を前提とする土地・建物の売買契約において、 |
事案の概要
売主X(原告・個人)は、
別荘として使用していた
土地・建物(
しかし、
賃借人Bとの間で定期借家契約
(
を締結した。
この時、
借地借家法38条2項規定の書
(法38条書面)
の交付
賃貸借契約から1年後の
平成28年7月、
X(原告・売主)は、本件賃貸借契約を
平成28年10月から平
その後、
本件不動産の
購入を希望するC
が現われた。
Y(被告・売却仲介)は、
X(原告・売主)より
平成
「退去を求められない」旨を聞いた。
よって、
Y(被告・売却仲介)は、
その退去日(平成
X(原告・売主)とC(購入希望者)との
売買条件を取りま
平成28年12月3日、
X(原告・売主)とC(購入希望者)は、
売買契約(本件売買契約)を締結。
Y(被告・売却仲介)
違約金を
しかし、
X(原告・売主)がB(賃借人)に
本件賃貸借契約の終了を通知したところ、
「
定期借家
X(原告・売主)の本件不動産売却は
更新拒絶の正当理由
としてB(賃借人)に退去を拒否された。
X(原告・売主)は、
本件賃貸借契約が解除できなければ、
違約金800
となることから、
B(賃借人)との交渉により
解決金28
ことで本件不動産の明渡しを得た。
X(原告・売主)はY(被告・売却仲介)に対し、
「 Y(被告・売却仲介) は、
関係書類一切の提供により、
本件賃貸借契約は
法38条書面の交付がされておらず、定期借家契約と評価する余地がないことを
容易に認識し得たにもかかわらず、本件賃貸借契約が適法な
定期借家契約に疑義があり、Bが退去を拒否した場合、
800万円の違約金を
支払わなければならないという 、X(原告・売主)の
売買契約締結の判断に重大な影響を及ぼす事実を
説明しなかった。Y(被告・仲介)にはX(原告・売主)に
不測の損害を生ぜしめないよう
配慮すべき注意義務違反がある。」
として、
本件解決金のほか、
逸失利益、慰謝料、
計829万円余の
損害賠償を請求した。
これに対してY(被告・売却仲介)は、
X(原告・売主)の損害は、
本件賃貸借契約が定期借家契約として無効
であったことに起因するものであるから、本件賃貸借契約を締結した者に
請求すべきもので、本件売買契約の仲介者である
Y(被告・売却仲介)が
責任を負うものではない
などと反論。
判決の要旨
裁判所は、
次のとおり判示し、
Xの請求を一部認容した。
Y(売却仲介)の義務違反
(1)本件売買契約における媒介業者は、
売買契約が支障なく履行され、
達成し得るために
必要な事項について調
これを委任者に
適切に説明する義務を負う。
(2)本件売買契約においては、
定期借家契約とは評価されない
本件賃貸借契約が存在
していたため、
B(賃借人)が退去を拒んだ場合には、
平成29年9月までの
明渡しを達成できず、
X(原告・売主)はC(購入希望者)に
同契約を解除され
80
負担するおそれがあったことが
認められるところ、
Y(被告・売却仲介)は、
X(原告・売主)から
本件賃貸借契約書及び
本件覚書を交付されたことにより、
定期借家
B(賃借人)が上記期日までに
退去しないおそれがある
本件売買契約の目的達成に
影響を及ぼす事情を認識していた
にもかかわらず、
本件売買契約
上記事情をX(原告・売主)に
説明していなかった
のであるから
Y(被告・売却仲介)には
媒介業者としての
説明義務違反がある。
(3)Y(被告・売却仲介)は、
(イ)本件賃貸借契約の締結に
関与していなかったこ
(ロ)同契約には
専門の仲介者が入っていたため、
法38条書面の交付がないとは
考えられなか
(ハ)X(原告・売主)が
本件賃貸借契約は
定期借家契約として
有効だと話していたこと、
(ニ)X(原告・売主)
本件売買契約締結が終了するまで
B(賃借人)に連絡をしないよう強く言われ、
B(賃借人)に本件賃貸借契
退去の意向を
できる限りの調査を尽くしても、
無効であることを容易に
知り得なかった旨主張する。
しかしY(被告・売却仲介)は、
本件賃貸借契約書及び
本件覚書の内容から、
定期借家契約
評価を受けるものではない
ことを認識していたものと
認められる
などの事情に照らすと、
(イ)~(ニ)の事情をもって
Y(被告・売却仲介)に
「説明義務違反がない」
とはいえな
(Xの損害について)
Y(被告・売却仲介)の
義務違反行為と相当因果関係のある
X(原告・売主)の損害として、
弁護士
が認められることから、
Y(被告・売却仲介)は
317万円をX(原告・売主)に
まとめ
賃貸人の地位を引きいでの
不動産売買、
いわゆるオーナチェンジもあるが、
今回は、賃借人の退去
を条件とした賃貸中の土地・
賃借人に退去を拒まれた場合、
に陥ってしまう。
本件は、
として賃借人より退去を
拒否された事
仮に有効であったとしても、
賃借人に退去を拒まれた場合、
裁判所の判決を得る必要がある
ことから
(参考:東京地判 平26・10・8)、
賃借人退去が売買条件
である場合においては、
媒介業者は契約当事者に、
取決めを特約として置くな
助言を行う必要がある。
なお、
定期借家契約については、
法38条書面の交付がなければ
普
として取り扱われること
(最一判 平24・9・13 RETIO88-108)、
定期借家契約について
更新したとすると、
普通借家契約として更新されること
(参考:東京地判 平27・2・24 RETIO101-114)
この2点は、
宅地建物業のうちの、
売買仲介ならびに、
賃貸仲介を行う場合は、
気をつけましょう。
なお、
オーナーチェンジの売買仲介でも、
上記の2点はもちろんのこと、
賃貸借契約の条件、
契約期間、敷金の有無や、
保証人、その他の特約など、
十分に確認することは
基礎中の基礎ですね。
参考:RETIOメルマガ第158号(2020-01-01)